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最近読んだ本

 7時のニュースの後がオリンピックの総集編で、冒頭の映像がロシアの棒高跳びのイシンバエワ選手でした。彼女がバーを越え、自分の世界記録を更新する跳躍に成功したことを確信しながら落ちていくシーンが超スローで流れていたのですが、その顔マネをしていたら、茶太郎に、「バカなことしてないで、ほら、出かけるぞ」と言われてしまいました。自分だって、同じことやっていたくせに!

 さて、1週間前に青森から帰ってきたのですが、いまひとつ社会復帰しきれないまま、うだうだと毎日過ごしています。「暑いのヤダ~」とか言ってたくせに、9月の長雨のような涼しい日が続くと「私の夏を返して~」的な気分になります。本をたっぷり読めているのが、まあ、収穫といえば収穫でしょうか。秋田への帰省前に読んだものも含めて、そのうちの面白かったものをいくつか。

 藤原幸一ペンギンの歩く街』(2008年 ポプラ社)は、南アフリカ共和国、喜望峰近くのサイモンズタウンという街の、「街ペンギン」たちの様子を紹介する写真集。前半では、もともと沖合の小島で繁殖していたペンギンたちが大陸側に移住してきたこと、背丈の低い茂みで営巣していたペンギンたちが開発のせいで人間と「共生」せざるをえなくなったこと、営巣地から浜辺までの間にはさまざまな危険が潜んでいて、なかでも自動車がもっとも危険であること、などが紹介されています。
 後半部分では、そもそも沖合の小島から対岸に移住せざるをえなくなった理由が、島の沖を行き交うタンカーの座礁事故や「タンク洗い」による海洋汚染にあったことや、1968年のタンカー座礁事故による原油流出のさいの活動を契機に設立された「南アフリカ沿岸鳥保護財団(SANCCOB・サンコブ)」の活動内容が紹介され、これを大量の化石燃料を消費している私たち自身の問題として考えてみませんか、という問いかけがされています。
 あまりショッキングな写真は出てこず、ペンギンたちの愛らしい表情が前面に出ていますが、訴求力の強い写真集だと思います。こどもたちが夏休みに手に取るのにも、ぴったりな1冊かもしれません。

 平岩弓枝西遊記(上・下)』(2007年 毎日新聞社)は、日経新聞7月の「私の履歴書」の最後に、彼女の最近の仕事として紹介されていたもので、平岩弓枝自身のこの著作への思い入れと、蓬田やすひろの挿画に惹かれて読むことにしました(もとは、毎日新聞の連載小説)。
 考えてみたら、西遊記は、こどものころに「孫悟空」のお話として読んだ程度で、全編通して読んだことなどなく、ましてや、原典の翻訳を読んだわけでもないのですが、孫悟空をはじめとする登場人物たちが「なぜ」天竺への旅に出ることになったのかという部分が丁寧に掘り下げて描かれている一方で、冒険物語としてのスピード感も保たれているように感じられ、とても楽しく読むことができました。
 こどものころの、「おはなしを読むときのわくわく感」みたいな感覚を、久しぶりに味わいました。物語が終わり近づくのが惜しくて仕方のないような気分。

 松浦理英子犬身』(2007年 朝日新聞社)は、いつも利用している公立図書館で予約してあったものが、数ヶ月たってようやく手元に届いたもの。
 〈種同一性障害〉を自認する主人公がある女性の飼い犬に生まれ変わって飼い主に寄り添うという突飛な設定が縦糸。横糸は、近親者による性的虐待とそこからの生還というテーマで、おぞましいところあり、救いのないところもあり、と、ちょっと重たいのですが、筆力でぐいぐい読まされました。
 結末のひとつ手前の「問題の解決方法」については、「そこまでやらないと、やっぱりダメなのかしら?」という疑問(失望)を覚えつつ、他方で、歪んだ関係から離脱するには、少なくともメタファーとしての「殺し」は経なくちゃいけないのかもなーという納得も覚えました(余談になりますが、メタファーとしての「母殺し」の物語として爽快なのは、笙野頼子『母の発達』)。
 まあ、重たいテーマはさておき、最近は散歩中の犬に見つめられると、「こいつの中には、何が入ってるんだろう?」なんて思ってしまうのが、読後の後遺症というか副作用というか・・・。飼い主もセットにして妄想するのは、なかなか楽しい作業です。

 小倉千加子宙飛ぶ教室』(2007年 朝日新聞社)のテーマは、ジェンダー、宝塚、和央ようか(「飛ぶ」でない理由はここにあります)。小倉千加子は、20年近く前に講演を聞き、「なんかえらいラディカルで、私のようなフツーのコムスメにはとてもついていけん」と思ったきりで、著作をほとんど読んだこともなかったのですが、当時の私の理解が浅かったのか、年月を経て彼女も変化したのか――前者対後者の割合が8対2くらいではないかというのが、今の私の読みなのですが――、非常に味わい深いエッセイ集でした。間違いなくエッセイ集のはずなのですが、時折、小説を読んでいるような感覚に陥りました。
 アメリカにいたときに、女性学の授業を1つだけ聴講させてもらったことがあり、そこで、男だけで演ずる歌舞伎と、女だけの宝塚を――両者をどう位置づけていいのか、自分でもよくわからなかったので――分析などは一切加えず、ただ「こういうものが日本にはあります」的に紹介したことがありました。歌舞伎はともかく、宝塚についてはまったくわかっていなかったということが、今回よくわかりました。というか、両者をいたずらに対比させてみても、あまり意味がないのかもしれません。
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by thebrandywine | 2008-08-25 23:19 | よむ

茶太郎+ぴーこのおばかな日常: ぴ「うりゃー!」 茶「ぐぇぇぇ~」


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